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大阪地方裁判所 昭和51年(わ)355号 判決

本籍

韓国慶尚南道咸安郡咸安面鳳城洞

住居

大阪府八尾市堤町二丁目二一番地の五

株式会社大阪精機代表取締役

長原貞夫・長原良夫こと

張在煥

昭和五年一一月二一日生

右の者に対する所得税法違反被告事件につき当裁判所は検察官藤村輝子出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一年および罰金二、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは、金五萬円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、大阪府東大阪市宝持二番地の二〇において、大阪精機ネジ工業所の屋号で精密ネジ製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、

第一  昭和四七年分の所得金額が六八、四五〇、五六六円で、これに対する所得税額が三八、五二二、九〇〇円であるのにかかわらず、公表経理上売上の一部を除外するほか手形割引及び金銭の貸付による利息収入を申告から除外するなどし、これによって得た資金を架空名義の定期預金にするなどの行為により、右所得金額のうち六二、四三六、四一八円を秘匿したうえ、昭和四八年三月一五日、大阪府東大阪市永和二丁目三番地の二〇所在東大阪税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、〇一四、一四八円で、これに対する所得税額が九三八、二〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税三七、五八四、七〇〇円を免れ

第二  昭和四八年分の所得金額が九五、〇〇六、六四九円で、これに対する所得税額が五六、一三八、一〇〇円であるのにかかわらず、前同様の行為により、右所得金額のうち八八、四八〇、一六九円を秘匿したうえ、昭和四九年三月一五日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、同年分の所得金額が六、五二六、四八〇円でこれに対する所得税額が一、〇八二、七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって不正の行為により、同年分の所得税五五、〇五五、四〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部につき

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、被告人確認の確認書(検察官請求証拠目録 21ないし26)

一、検察事務官上野健一作成の電話聴取書

一、大蔵事務官中塔保昭作成の脱税額計算書説明資料(検察官請求証拠目録(甲)8)

一、同豊田功作成査察官調査書(同9)

一、同中塔保昭作成七月一六日、同二九日付各査察官調査書二通(同10、11)

一、同高野潔作成二月八日付査察官調査書(同13)

一、同中塔保昭作成七月一九日付、査察官調査書(同14)

一、同池尻篤作成七月一六日付査察官調査書(同17)

一、同中塔保昭作成七月四日、同一七日、同一八日付各査察官調査書(同20、21、22)

一、同豊田功作成六月三〇日付査察官調査書(同24)

一、同小谷道雄作成三月二五日、四月九日、三月二一日付各査察官調査書(同25、27、28)

一、同中塔保昭作成六月一六日、七月一六日付各査察官調査書(同26、29)

一、山本祐秀、丸谷純策作成の各確認書(同30、31)

一、大蔵事務官中塔保昭作成一一月二七日、同三日、七月一六日、同三日、同一一月三日付各査察官調査書(同32ないし36)

一、同山野重夫作成七月二五日付査察官調査書(同37)

一、同池尻篤作成七月二四日、同二三日付各査察官調査書(同39、40)

一、河上豊の大蔵事務官に対する三月四日、四月一二日付各質問てん末書(同41、42)

一、中村晴美の大蔵事務官に対する一一月二一日、四月一二日付各質問てん末書(同43、44)

一、青柳英男、宇野豊、姜蓮洙、住吉啓安、中村英二の大蔵事務官に対する一一月二一日付各質問てん末書(同46ないし49)

一、和田初太郎(一一月二一日付)、堀川泰正(三月一七日、五月七日、六月一九日付)、朴聲弼(五月三〇日付)、安田孝太郎(三月一七日、六月一九日付の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同51ないし57)

一、山本隆雄(二月六日付)、山本富士江(一〇月三一日付)、入山修二(二月二四日、三月一日付)、清水武治(一一月九日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同59、60、62、63、64)

一、佐藤商会、彦川源吉、ユタカ製作所、森栄良華、パンマシン、染川商店作成の各回答書(同68、69、71、76、82、84)

一、河合朝晴、木村豊吉、石正勉、森嶋立生、北森正弘、佐々木寿、小高勇、八ツ本俊策、河添博、畏子欣弥、野崎末雄、松尾千九三、細井明、山口照江、西村憲資、島本昭司、大熊正明、山本武、石川浄二、山野英夫、長田利喜、上月豊、(五月一九日付)、入山修二、丸谷純策、辻井勝美、高芳一、山本裕秀(二通)、長田利喜、金泰男(記録の後に編綴のもの)、斉藤隆司、佐藤龍彦、福井武雄(六月九日付)、須藤寿治、田路秀敏(二通)の各確認書(同97ないし115、125、126、127、129ないし132、136、137、139、146、150、151、153、154、156、157)

判示第一につき

一、大蔵事務官中塔保昭作成の脱税額計算書(同1)

一、同佐古田保作成昭和四七年度所得税確定申告書謄本(同3)

一、同中塔保昭作成脱税額計算書説明資料(同6)

一、同佐竹成司(四月三〇日付)、豊田功(七月一七日付)作成の各査察官調査書(同12、23)

一、中村英二(二月二八日付)、関口慶一(一〇月二九日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同50、58)

一、石川洋二、豊福博、松村新太郎、日南精機、竹川忠幸、西勝己、藤原久子、三谷充、小中洋子、山口龍夫、横山清人、大城基宏、脇田金属工業所、廣森甫三、中村道雄、東野宗太郎の各回答書(同67、70、73、77、85、ないし96)

一、林安男、板垣潔、田路秀敏、戸田文男、樋口勝久、西野義一、杉山元男、福井武範、長田利喜の各確認書(同116、128、138、145、147、148、149、152、155)

判示第二につき

一、大蔵事務官中塔保昭作成の脱税額計算書(同2)

一、同佐古田保作成昭和四八年度所得税確定申告書謄本(同4)

一、同中塔保昭作成脱税額計算書説明資料(同7)

一、同中塔保昭(七月七日、六月五日、五月一三日付)、山野重夫(七月一六日、同二四日付)作成の各査察官調査書(同15、16、18、19、38)

一、中村晴美(一〇月二二日付)、西村弘毅(二月一〇日付)、安里都孝(六月五日、同六日付)の大蔵事務官に対する各質問てん末書(同45、61、65、66)

一、金友一夫、春江光雄、小野康夫、新井実、村上久枝、ミリオン製作所、松浦勉、坂巻絢子の各回答書(同72、74、75ないし81、83)

一、中平光信、頼政敏之、上山信幸、楢本寿博、高橋新一、寺野義隆、平野義昭、中村英二、村田伍、中沢浩、上月豊、八百谷正樹、金泰男(記録の前に編綴のもの)、豊川完祐、森一夫、金岡鉄雄の各確認書(同117ないし124、133、134、135、140ないし144)

(法令の適用)

被告人の判示第一、第二の各所為は、それぞれ所得税法二三八条一項に該当するので、所定刑の懲役と罰金を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪であるので、懲役刑につき同法四七条本文、一〇条により重い判示第二の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑につき同法四八条二項、所得税法二三八条二項により判示第一、第二の各免れた所得税の額に相当する金額を合算し、その刑期および金額の範囲内で被告人を懲役一年および罰金二、〇〇〇萬円に処し、労役場留置につき刑法一八条を、懲役刑の執行猶予につき同法二五条一項を、訴訟費用につき刑事訴訟法一八一条一項但書を適用し、主文のとおり判決する。

(裁判官 池田良兼)

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